GUILD x Ralph Towner
Special Interview

ギタリスト、ピアニスト、コンポーザーとして50年以上のキャリアを誇る巨匠ラルフ・タウナーは、クラシック・ギターとスチール12弦ギターを弾きこなすという稀有な存在である。ジャズ&現代音楽の世界最先端を牽引し続けるドイツの「ECMレコード」の看板アーティストとして、20作以上のソロ名義アルバムの他、アコースティック・ジャズ・アンサンブル「オレゴン」のリーダーとして、それ以外にも数多の音源を世に送り出しながら、79歳を迎えた今も世界各地でコンサートを行い聴衆を魅了し続ける。そんなタウナー氏の来日公演が高崎芸術劇場で開催されました。ギター1本から放たれる無限のサウンドに聴衆は釘づけでした。このライブ直前の僅かな時間を特別に頂き、GUILDギターの魅力を聞くことに成功。その貴重なインタビューをお届けします。




“オリジナリティとして他社よりも完成度が高いよ!”

───お忙しい中、お時間頂きましてありがとうございます。あなたはギター以外にもマルチに楽器を演奏されますがその中でもギターを始めたきっかけを教えてください。


Ralph Towner(以下R):私は7歳からトランペットとピアノを弾いてたんだけど、大学の作曲学科に所属していた最後の年に、同じ大学のクラシック・ギターの生徒がバッハの曲か何かを、とても上手に弾いているのを聴いて、すごく魅了されたことがきっかけでギターを始めたんだ。ピアノのような繊細な音と演奏法を聞いてクラシックギターが好きになったけど、私はその時すでに22歳で、ギターを始める年齢としては遅かったから、指導が特別にうまい先生を見つけて、オーストリアに移住して本格的にギターを始めたよ。その頃は、毎日8時間以上練習してクレイジーな日々を過ごしていたね(笑)。


──日本に来日したのは何度目ですか?


R:来日する頻度は低めで日本に来日したのは6,7回くらいだね。


──そんな中、GUILD Guitarを使うようになった経緯を教えてください。


R:これはアクシデントだったんだよ!本当はスチール弦のギターは弾きたくなかったんだけど、 あるバンドとの仕事で、ジョ二・ミッチェルの曲をやることになったんだ。 だけど、私はクラシック・ギターしか持っていなくて、それだと雰囲気が出ないので、バンド・メンバーの一人が持っていたGuildの12弦ギターを借りて弾いたんだ。ピックを使ったストロークではなく、爪を痛めないように工夫して、クラシック・ギターのような指で弾くテクニックで弾いてみたら、 ハープシコードのような音がして、それがとても評判がよかったんだ!それ以降、Guild12弦ギターを使い始めたね。


──GUILDの魅力、またGUILDの12弦ギターは他ブランドとどのような違いがありますか?


R:GUILDギターには力強いサウンドが宿っているね!  あとギタリストのプレイ・スタイルに合わせてギターを開発しているので、オリジナリティとして他社よりも完成度が高いよ!もうだいぶ前になるけど、私のために12弦ギターのカスタム・モデルをつくってくれたことがあって、今もそれを愛用しているんだけど、その12弦ギターはクラシックギターのように指板をフラットにして、かつワイドネック仕様にカスタムしたものなんだ。これが本当によくできてて素晴らしい!これはセーハを多用する私の演奏と音楽にとって不可欠で、多彩なコード表現を可能にしてくれる。今でもレコーディングやライブでも使用しているよ。そしてGuildには時代を超えた一貫性があって、昔も今も同じハイ・クオリティなサウンドが保たれているのが素晴らしい!今回のF-512も芯のある音、強力なミドル・レンジとベース、またカラフルな音色も表現できて素晴らしいね。手工ギター始め、他の12弦ギターもいろいろ使ったことがあるけど、GUILDは私の期待にいつでも応えてくれるギターだよ!





“ギターにフォーカスせず、あくまで「音楽」にフォーカスしている”

──GUILDギターを使って演奏する際にどんなサウンド作りを心掛けていますか?


R:私のサウンドがリスナーからどんな風に聞こえているのか、自分自身もリスナーとして、どんなサウンドが出ているのか常に注意している。スチール弦ギターの素晴らしい特徴として、「ハーモ二クス」があると思う。とても生々しく、ベルの音のようにも聞えるハーモ二クスの音が私は大好きで、それを活かしながら演奏時に多用している。他には、それはたくさんの変則的なチューニングを試して来たよ。時には全部の弦の音を変更したり、ペアの音を変えたり、ユニゾンにしてみたり、思いつく限り色々やってみたね。そして一番は、トラディショナルなやり方…何がトラディショナルかはよくわからないけど(笑)、それまでの既存の方法論を意識的に避けて来たところかな。(笑)


──これだけ世の中にギターがたくさんありますが、選ぶポイントやコツがあれば教えてください。


R:楽器屋で試したら良い音だったのに、持って帰って家で弾いてみたら音が良くなかったっという事例がよくあるよね。(笑) まずは自分がどんな音が好きか、どんな音を出したいか、また、どんなプレイスタイルが好みなのかをはっきり決めると良い。 まだ未熟で、それが明確でない場合は、ギターを試奏してみることになるんだけど、まず気をつけてほしいのは、低音から高音まで平均的にバランス良く鳴る楽器を選ぶということだね。例えば、低音弦が響き過ぎると、高音弦がか細く聞えてしまう、というようなことが起きるし、低音弦の音に覆われてしまって、全体のサウンドがどうなのか、計り知るのが難しくなってしまう。バランスの良い楽器であれば、各弦の音をコントロールし易いので、それぞれを平均的な音量で弾くことができる。その後、気にするべきは、その音色が自分の好みに対してどうなのか?美しいのか?そうでないのか? それを考えたらいいと思うよ(笑)。

──最後にあなたのようなギタリストになる秘訣を日本のファンのために教えてください。


R:指導のうまい先生から習うこと、またいろいろな音楽に精通することだね。先ほども言ったように私は22歳という遅さでギターを始めたけど、上手くなれたのは先生のおかげではあるけど、毎日8時間以上練習したのと、それ以前にジャズ・ピアノ・トリオの複雑なハーモニーを解析しようと研究していたから、ギターのテクニックもそこでより活かされたと思う。  あとは、楽器を習得する際には最初、必ず「モデル」となるアーティストがいるはずだから、自分が目指しているサウンドやそのプレイを何度も見て学習すると良い。これは「音楽」さえ良ければ、ギター以外の楽器を演奏する人でもよいからね。ちなみに私はピアノを弾いてたからビル・エヴェンスを目指してたんだ。あとは、マイルス・デイビスも好きだね。多くの人はマイルスを聴くと、「素晴らしいトランペット・プレイヤーだ!」と言うけど、私はそれより、マイルスの音楽世界が素晴らしいと感じるんだ。私はギターを弾くけど、ギターにフォーカスせず、あくまで「音楽」にフォーカスしているんだよ!

   


──本日は本当に有難う御座いました!





【Ralph Towner Profile】

1940年、ワシントン州チャヘイリスで生まれる。幼少期からピアノとトランペットを始めるがオレゴン大学を卒業後、22歳からギターを始める。1972年からECM Recordsと契約し数々のギターソロアルバムをリリース。自身のバンド「オレゴン」のリーダーでもある。

オフィシャルWEBサイト http://www.ralphtowner.com