【MUSIC NOMAD完全ガイド vol.2】弦高(ストリングアクション)編
弦高(ストリングアクション)完全ガイド
— エレキ・アコギ・ベース・クラシックギター対応 —
🟠弦高(ストリングアクション)とは?
弦高とは、12フレット上で、フレットの頂点から弦の裏側までの距離のことです。
弾きやすさ、ビビりの有無、サウンドの質に直結する非常に重要な要素です。
🟠 弦高をチェックすべきタイミング
- 弾き心地や音が変わったと感じた時
- 季節の変わり目(湿度・気温差の影響)→ ギターは数ヶ月ごとに弦高チェック推奨
- トラスロッドを調整したあと
- 弦を交換したあと
🟠弦高が変わる主な原因
- 湿度・温度の変化:木材は環境変化に敏感で、膨張・収縮によりネックやボディが動き、弦高が上下します。
- ネックの反り:経年で反った場合、弦高も変化します。
- パーツの摩耗:フレット、ナット、サドル等の摩耗により弦高が上下したり、不均一になります。
- 弦のゲージ変更:太い弦は張力が強く、弦高が上がりがち。細い弦は逆に低くなりやすい。
- ブリッジ・サドルのズレ:特にフローティングブリッジなど、長期使用で位置が微妙に変わります。
- ナットの摩耗:ナット溝が減ると弦が低くなり、逆に浅いと高すぎることも。
- 新品や大修理後の“落ち着き期間”:木材・パーツが馴染む過程で弦高が変わることがあります。
- 保管環境が悪い場合:湿気・乾燥・温度差で木が反り、弦高変化の原因に。
- ブリッジのビスの緩み:振動や環境でネジが動き、弦高が変わることがあります。
- チューニングの変化:ドロップや変則を頻繁にすると張力変化が起こり、弦高が変わることがあります。
🟠弦高が高すぎると起きる問題
- 押弦が重い・弾きにくい
- スピードや運指が遅くなる
- イントネーションがズレやすくなる(押さえる時に弦が伸びるため)
- 手首・指・腕に負担、腱鞘炎リスク
🟠弦高が低いメリット・デメリット
| ✔ メリット | 軽い力で弾ける イントネーションが正確になりやすい |
| ✘ デメリット | ビビり(フレットバズ)が出やすい |
🟠弦高調整に必要な工具
- 弦高ゲージ
- カポ(1フレットに固定するため)
- ギターに合うドライバー or 六角レンチ
- 半径(R)ゲージ
🟠一般的な弦高の目安
| エレキギター | 6弦: 1.50 mm 1弦: 1.25 mm (7弦・8弦も同様に太い側が少し高め) |
| ベース | E弦: 2.15 mm G弦: 1.90 mm |
| アコースティック | 6弦: 2.30 mm 1弦: 1.90 mm |
| クラシック | 6弦: 3.00 mm 1弦: 2.30 mm |
🟠弦高の測り方(12フレット)
1. ギターをチューニングする
正確なテンションで測らないと数値が変わります。
(MusicNomad流の「KISS セットアップ」では、弦高測定前に“ネックの反り・弦のR”を整えます)
2. ギターを演奏姿勢にする
机に寝かせるよりも、持って弾く姿勢の方が正確。
3. 1フレットにカポをする
ピック型カポでもOK。
4. 12フレットを確認
弦高は必ずここで測る。
5. 弦高ゲージを当てる
12フレットにゲージを入れ、
弦の裏側にどのラインがちょうど触れるか を読む。
6. 基準値と比較し、必要なら調整
7. 1弦側も同じように測る


🟠弦高と弦のR(半径)はどちらを先に調整する?
ギターのタイプで違います。
| サドルが個別に調整できる場合 | まず弦高を決める そのあとで弦のR(半径)を揃える |
| サドル固定のギターの場合 (Tune-o-matic、アコギ等) | まずRを揃える 最後に弦高を微調整 |
🟠なぜ1フレットにカポを付けるの?
弦高調整は本来「ナット調整の前」だからです。
ナットはまだ状態が一定でないため、1フレットを基準にして誤差を排除するためです。
🟠エレキギターの弦高調整方法
① 個別調整サドル(ストラト、テレキャス、Ibanez など)
六角 or ドライバーでサドルの2本のイモネジを回す
右(時計回り) → 弦高が上がる
左(反時計回り) → 弦高が下がる
⚠ 各サドルの左右が同じ高さになるように
=サドル底面がプレートと平行に。
外側2本(6弦・1弦)が決まったら
→ 内側4本はRゲージに合わせて決める
(フレットボードの指板Rに合わせます)

② 固定サドル(Tune-o-matic、固定ブリッジ)
まず R(半径)を揃える
サドル前方5–6mmの位置にRゲージを置き
各弦がゲージに触れるように調整
※必要ならサドルをヤスリで削ります(慎重に)


次に 弦高
Tune-o-maticはブリッジ両端のポストで高さを変える。
親指ホイールを 時計回り → 下がる
反時計回り → 上がる
弦の張力で固くて回らないとき
→ 弦を少し緩める
→ もしくはスパナ(スパナーレンチ)で回す
Epiphone等ではポスト上部にマイナス溝があるため
ドライバーでも高さ調整可。

🟠アコースティック/クラシックギターの弦高調整
アコギ・クラシックは電気ギターより難しいです。
調整原理:サドルの底面を削ることで弦高を下げる。
- ガラス板+紙やすり
- タイル+紙やすり
- 木片+紙やすり(まっすぐが重要)
で削ることは可能。しかし…
- ❗ 削りすぎたら戻せない
- ❗ Rが変わりやすい
- ❗ ピエゾ搭載の場合は接触不良になりやすい
このため、基本的には専門リペアショップ推奨とされています。
🟠ベースの弦高調整
基本はエレキギターと同じ。
六角レンチでサドル2本のイモネジを調整
サドル底面がブリッジと平行になるように
(斜めはNG)
一般的にベースは弦が太いため、
弦高はやや高めが標準です。

🟠新品ギターは弦高が高めなのはなぜ?
新品は出荷時にあえて弦高を高めにしています。その理由は、
- どんな環境でもビビりにくくするため
- 店頭でのチェックで「ビビるギター」という印象を避けるため
つまり、買った直後は高く感じるかもしれませんが、
購入後に自分の好みに調整することが前提です。
🟠正しいギターセットアップの全手順(Step-by-Step)
以下は MusicNomad が推奨する
「KISS(Keep It Simple Setup)」方式の全体の流れです。
ギターの種類(エレキ/ベース/アコギ/クラシック)に関わらず、
セットアップは基本的に この順番で行う のが正解です。
◎ 1. チューニングする
正確なテンションで作業するため、最初と途中で必ず再チューニング。
◎ 2. ネックの反り(ネック relief)を調整する
反りすぎ → 弦高が高い・音がぼやける
順反り不足(逆反り気味) → ビビりやすい
最終的な弦高を正しく出すための最重要ステップ。
◎ 3. 弦のR(指板半径)を合わせる
ギターにはそれぞれ指板のカーブ(R)があるので、
サドルの高さを調整して、弦の並びも同じRに揃える。
可変サドル → 外側弦の高さを決めてから内側をRに合わせる
固定サドル → Rゲージを当ててサドルを削る or サドル交換
◎ 4. 弦高(12フレット)を測り、標準値に合わせる
ここが一番プレイアビリティに影響します。
一般的な基準(再掲)↓
| エレキギター | 6弦: 1.50 mm 1弦: 1.25 mm (7弦・8弦も同様に太い側が少し高め) |
| ベース | E弦: 2.15 mm G弦: 1.90 mm |
| アコースティック | 6弦: 2.30 mm 1弦: 1.90 mm |
| クラシック | 6弦: 3.00 mm 1弦: 2.30 mm |
◎ 5. ナットの高さ確認
カポで1フレットを押さえた状態で弦高を測ったのは、
ナットがまだ適正かどうかわからないため。
最後の段階でナットスロットが高すぎたり低すぎたりしないかを確認。
◎ 6. オクターブ調整(イントネーション)
弦高・反りを調整した後に行うのが正しい順番。
12フレットの押弾音が開放弦より高い → サドルを後ろへ
低い → サドルを前へ
◎ 7. ピックアップの高さ調整
弦高を変えたら、ピックアップの距離も変化します。
| 近すぎると: | 音が歪む サステイン低下 磁力で弦が引っ張られる(ストラト病) |
| 遠すぎると: | 出力が弱い 反応が鈍る |
メーカー基準値 or 好みに合わせて調整。
◎ 8. 電子ノブ・スイッチの動作チェック
ガリや接触不良がないか。
◎ 9. 最終チューニング & 試奏
全体が落ち着いたら最終チェック。
- ビビりがないか
- 音量バランス
- 弾き心地
- クリーン & ドライブ両方でチェック
必要なら微調整を行う。
📌 まとめ:正しいセットアップの順番
① チューニング ② ネック反り調整(最重要) ③ 弦のR(指板R)調整 ④ 弦高(12F)調整 ⑤ ナット高さチェック ⑥ オクターブ調整 ⑦ ピックアップ高さ調整 ⑧ 電装チェック ⑨ 最終チューニング → 試奏
