月夜見 -tsukuyomi- 開発インタビュー

Vincitaの4弦ベース「Versatilità」に搭載されているプリアンプは、Aya tokyo japan / Yukiのビルダーとして知られる河井 誠氏に製作を依頼しました。河井氏よりプリアンプに関するコメントをいただきましたので、ご紹介いたします。

製作ヒストリー

現在までYukiで販売されたベース・プリアンプをベースに製作。一般的なオンボード・プリアンプはON時にあまりサウンドが変化しないようにローインピーダンス化する事が多いかと思いますが、Vincita用のオンボード・プリアンプ「月夜見 -tsukuyomi-」はON時に明らかに強いサウンドへ変化しつつローインピーダンス化、サウンドバリエーションという捉え方も可能なものかと思います。

オンボードプリアンプの顔をした、実はアウトボードプリアンプ

OP-AMP-IC 8チャンネル分を使用した小型回路の製作は、私にとっても初めての挑戦でした。そのため、良いサウンドが得られるかどうかが最大のチャレンジでした。

一般的には2ch入りIC(8pin-type)1個を使い、片方をインプットバッファー、もう片方をEQ用に使用する構造が多いですが、「月夜見」ではクアッドタイプ(4ch入りIC)を2個採用。インプットバッファー~プレゼンス(固定)~ゲイン(固定)~固定フィルター~EQと、多くのチャンネルを活用することで、他にはない“パッシブ~アクティブ”の幅広いサウンドバリエーションを実現しました。

さらに、ただ小型化を目指すのではなく、コンデンサーにはエフェクター同様のEPCOS-TDKやWIMAを採用し、OP-AMPには省電力タイプを使用。単なるアクティブ回路ではなく、小型化した「Yuki プリアンプ」を内蔵したのが、この「Vincita Versatilità」です。

圧倒的であること

Yuki プリアンプ試作時から一貫したテーマは「圧倒的にいい音」です。ONにした瞬間に「おっ!」と感じていただき、そのまま現場で使える、ノれる音であることを重視しています。今回の「月夜見」も、もちろん同じテーマのもと製作されています。

回路図での違い

枠にとらわれない挑戦が価値を生む

これは、もう一つのテーマでもあります。前述のとおり一つのサウンドバリエーションとして捉えることもできますが、一般的なオンボード・プリアンプに比べて電力を消費し、Trebleを上げた際のSN比も劣ります。それでもなお、プレイヤーにとって必要不可欠なサウンドだと確信しています。常識を超えた、この圧倒的なサウンドをぜひ体感してください。

このサウンドを全てのベーシストに届けたい。

幅広いジャンルに対応可能で、ジャズ・フュージョン系ではパッシブでのスラップ、アクティブでのブリッジ寄りの指弾き、さらにはピック弾きでもアクティブ/パッシブ両方で素晴らしい表現が可能です。

河井 誠氏Profile

1963年3月19日札幌生まれ。

中学生の頃より音楽活動を開始、高校卒業後、上京
家庭の事情で3年間、札幌~東京間の往復を繰り返す生活となった為、バンド活動が困難になり その間オーディオ機器、エフェクター等の自作を始める。

その後、東京での生活及びバンド活動を再開し1992年、E NIGHTのギタリストとしてFUNHOUSEよりメジャーデビュー。

メジャーデビュー後は作曲、アレンジ、ディレクターを経てエフェクターメーカー(AYAの母体MSD tokyo japan)を個人事業としてスタート~現在に至る。

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