The MUSIC & SOUND Retailer Magazine
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Dale Krevens Special Interview

The MUSIC & SOUND Retailer Magazine記者とDale氏による対談記事の翻訳です。
創業のきっかけやブランド名の由来などTECH21の歴史を副社長のDale氏に語って頂きました。


写真:左からTECH21社長のAndrew Barta氏と副社長のDale Krevens氏。

────まずはあなたのキャリアについてですが、どのように今日の地位に就かれたのですか?

Dale Krevens(以下D):私は元々、広告業界でマーケティングの仕事をしていたのだけれど私の兄弟がギタープレーヤーだったから一応100ワットのアンプがどんなサウンドなのかは知っていたわ。バンド練習に付き合って、いつも彼らのギアの話について聞いていたの。そこから自然に吸収していたから、キャリアに必要なことを理解するのに、このすべての経験を活かすことができたわ。音楽は私にとって人生の一部でもあるから、こうして私は音楽と共に成長してきたと思うわ。TECH21代表のアンドリューとは広告業界で仕事中に出会った。いつも彼はすぐに発明したものについて私に語っていたわ。その当時、私はその発明したものが詳しくは分からなかったけれど「これはどうなっているの?どんな構造しているの?どうしたらこんな小さなペダルでマーシャルのような音を出せるの?」と質問攻めをしたり、「ブラック・ストンプ・ボックス」を私のアパートで聴いた時もそのサウンドは本当に信じられないもので「なにこれ!すごい!信じられない!これで一体何をするつもりなの!?」と興奮していたのよ。その当時、彼はその技術を巨大工場に売るために駆けずり回り、二年を費やしたけれど誰もそれを理解できなくて残念ながら売れなかったの。だから私は「あなたが造って売れば良い。」と彼に進言したわ。そうしたら彼は「それはいやだ」と断ってきたけれど「やりなさい!」と言ってやったわ。(笑)それで最終的に「分かった、それで人生を賭けてみる。」と成ってTECH21を始めたの。またSANSAMPという名称を提案したのも私よ。ちょうど私は広告デザイン代理店でクリエイティブチームを動かしていたのもあって、そこでTECH21の広告業務を引き受けていたの。実際、今もすべてのTECH21製品のオーナーズマニュアルは私が書いているわ。そして私はTECH21は楽しめる会社だと思ってアンドリューとフルタイムで働くために代理店を辞めて転職したけどそれがまさかこんなに長く続くなんて想像もしていなかった。そして今、私たちはこうして30年も続いているのよ!!信じられないでしょ!!

────TECH21という名前は一体どこから来たのですか?

D:いくつかの候補名があがり、〇〇TECHか、TECH〇〇などの候補が絞られ、そこからアンドリューが「TECH21は?」と提案してきたの。 「良いけど21って何?」と聞くと彼が「21st Century」と言い、それで即決したわ!因みにSANSAMPに関しては300もの候補名を出したけどどれもピンと来なかったの。それでも私は「AMP」という言葉を入れることが重要だと思うからそれを必ず候補名に入れていたわ。何故なら他のペダルとの区別がつくし一体どんな製品なのかというのが分かるでしょう?これは過去に誰もやっていないものよ。平たく言うと「ボックスの中にアンプがある」とは呼びたくなかったから「これ!」っていうのが浮かぶまで頑張ったわ。そんな中「SANSAMP」っていうのがパっと頭に閃いた。サンズはフランス語で「WITHOUT(~無しで)」という意味なんだけど、本当にこれで良いのか、そこから3年寝かせ、アンドリューに「SANSAMPは?」と言ったら彼は「気に入った!」と。私達が共に働く中で考え方も併せて合致したという感じね。

────社名や製品名でおかしなネーミングを考え付いたことは?

D:私たちはアパートにこもってアンドリューがあちこち歩き回りながら名前を叫んだり新聞の記事をヒントにして色々見たりしたけど私は特に見つけられなかったわ。とりあえずこんな名前どう?っと候補名を出して「これ!」っていう直感が来るのを待つ感じね。


アナログはもっとオーガニックで自然であり無限の可能性を持っている。

米国ニューヨークにあるTECH21社内の一部。

────あなたが提供した製品について教えて頂けますか?

D:SANSAMPの技術は私達が開発したすべての製品に入っているわ。最新モデルだとFly Rig Seriesね。これは幸いなことに市場で人気があるの。直訳すると「空飛ぶ装置」。市場には似たようなものがいくらでもあるけどこれはただのマルチ・エフェクターではないわ。アンプと自慢のSANSAMPを搭載したこのギアだけ持って行くだけで良いのよ。どこにでも一緒に空の旅が可能な完璧のギア「Fly Rig」よ。Fly Rigは他にもベースバージョンアコースティックバージョン、ギター用に3種類のリッチー・コッツェン・モデルのRK5ポール・ランダース・モデのPL1, そしてFly Rig 5バージョン2など様々なバリエーションがラインナップされてるわ。

────30年も継続する成功のカギは一体何だったのでしょうか?何がこの成功を存続させたのでしょう?

D:アンドリューはアイデアを欠かすことが無かった事に本当に驚かされたわ。彼は私のオフィスにやってきてこう言うの。アンドリュー「こんなアイディアがある」私「3つ4つアイデアが宙に浮いているんだけどそこに更にもう一つあるの?」っていう会話のやり取りが常で彼の脳は四六時中動きっぱなしで一度たりとも考えるのをやめなかったわ。私はその湧き上がるアイデアにワクワクしていたのよ。カギはそれらが他のものとは一線を画していてユニークだったこと。これが重要な要素ね。 アンドリューは想像力旺盛で過去になかったことをするのが好きな人。きっと他の人には見えないものが見えるのよ。もう一つはSANSAMP技術は全てアナログだということ。アンドリューはアナログのサウンドに徹底的にこだわるの。アナログを愛しているの。特にレコードで育った私達の世代からすると正にその通りだわ。違いが聞き取れるだけじゃなく感じることもできると思う。耳がアナログならば自然界のすべての音もアナログだと思うわ。アンドリュー曰くアナログはもっとオーガニックで自然であり無限の可能性を持っていると言ってる。私もそうだと思うのよ。

────どうやって現在のアンプ、エフェクター、ペダルを上手に市場でPRしているんですか?

D:ペダル市場は活気があって良くも悪くも無数のペダルがしのぎを削っている。 そこは知名度で勝負しないといけないわね。ビジネスで一番重要なことではないかしら。幸いなことに私たちは一定の評価を頂いているわ。市場は混雑しているけれど、そこにあえて立ち向かっているのよ。 ただFly Rigになると市場のサイズが限られるけどね。皆、大きくて重たいアンプはもう持ち歩きたくない。Fly Rigもその理由で人気があるわ。でも、おかしいことにアンプは小さくなっているのにペダルボードの大きさはどんどん大きくなっていくのよね。今後、この市場がなくなるとは思わないわ。音楽番組のおかげで新しいシンガー、作曲家が常に誕生しているからアコースティック市場は今、本当に大きい。ビッグスターによって若いプレーヤー達を刺激するのは本当に良いことよね。それを見るのが本当に幸せ。ビデオゲームは私や娘もゲーム中毒にはならなかったけど、それが極めて人気なのも知っているわ。昔はみんな「ギターヒーロー」に憧れたものだけどね。今、ゲーム市場が成長しているの知っているけれど、コンスタントに多くの人々が楽器を手に取り演奏しているのも知っている。いつも楽器市場が大きくなるようにと私は願っているわ。

────御社のウェブサイトにはインタビューと製品デモに関して大量のデータがありますね。このアイデアの裏には何があるのですか?小売り店での販売やお客様が演奏する時に役立つのですか?またこれによって結果が出ていますか?

D:特別、何か結果が出ているとは言えないけど動画閲覧数はかなりの数があるわ。今の世の中、You Tubeからも学ぶでしょ? 例えるならYouTubeは近代の百科辞典ね。無数の動画、コメントを確認できる。また良いも悪いも市場の反応を直接確認できる。ユーザーが何を求めているのかを知ることが出来るのはかなり助けになっているかもしれないわね。動画はギアの展示という点では何を売るにしてもかなり重要よ。これは音楽業界に限らずどの市場にも当てはまると思うわ。


すべてのお客様に幸せになってもらいたい。

2019年1月25日SHE ROCKS AWARDSにてDale Krevens氏にMAD SKILL賞を贈呈。

────御社製品を扱うアーティストを著名ミュージシャンと呼ぶ代わりに「Hall of Fame」と呼んでいますね。これは何かアイデアがあるのでしょうか?

D:特にそこに意識したこともないけど私としてはそう呼ぶべきだと思うわ。だって有名人が私たちの製品を使っているんだもの。特に尊敬するアーティストが使用している製品を考慮に入れる時は最も注意を注ぐ点だと思うわ。

────音楽業界の小売店は御社のビジネスモデルにとって、とても重要です。彼らと素晴らしい関係を築くためのアプローチ方法とは?

D:サプライヤー、小売店、アーティスト、代理店、いずれにしてもすべては信頼関係と言っても過言ではないと思うわ。私達は彼らといつでもコミュニケーションを取って何がうまくいっているか、何がうまくいっていないかを共有しているわ。いつも何か助けが必要かを確認しているの。私たちが新しい小売店と契約する時には5万ドルもするようなものを買わせないし売れるのに時間がかかる製品を他のものとまとめて買わせるということを強要しないの。私達の見込みがそれほど大きくなくてそんなにすぐには売れないだろうというものを注文してきたとしても彼らに成功して欲しい気持ちを込めて「これを代わりにどう?」と尋ねるのよ。私達は長期にわたって信頼関係を保てることを幸せに思っているの。 小売店によっては創業一日目からのお付き合いの所もあるわ。実際、サム・アッシュは私達にとっての最初の楽器店だったし未だに良い関係を保っているわ。すべてのお客様に幸せになってもらいたい。お客様が幸せでなくてどうやって利益を生み出すの?

────最後に少し早いですが2020年NAMMSHOWでの、あなたのプランについて詳しくお聞かせ頂けますか?

D:ショーの前に2つほどの新製品を発表できるようにするつもりよ。でも、もしかしたらそのうちの一つはこの記事が出る前に発表されるかも。過去にまだ一緒にコラボレーションしていないメジャーバンドのアーティストモデルのペダルを発表する予定だけど、それはNAMMの前に発表予定よ。あともう一つ大きなプロジェクトがあるけどまだ話せないし、ヒントを挙げることもできないの。他にもNAMMでデビューするものも含めていくつか新しいことがあるわ。アンドリューは本当にすべての新製品にワクワクしているの。それを見ることが楽しくて毎回笑顔にさせられるわ!