アレン・チェン(SKYLINE)スペシャル・インタビュー by コージー村上

2026年8月20日(木) SKYLINE ft. TAIWAN ALL-STAR JAPAN TOUR 2026 at 築地・汐留BLUE MOOD

Interview & Text:コージー村上


まいど!コージー村上です!

台湾で最も長い活動歴を持ち、ジャズ・フュージョン界を牽引してきた、SKYLINE(スカイライン)のジャパンツアー、築地・汐留BLUE MOOD公演に行ってきました。

今回は、「SKYLINE ft. TAIWAN ALL-STAR」と銘打ち、台湾の音楽賞を受賞したヴォーカリストも多数出演し、ジャズ・フュージョン曲はもちろん、現在世界的に盛り上がりを見せるシティポップや、ブルース、ボサノバ、R&B、台湾民謡等々の楽曲も演奏され、ジャズ・フュージョンを知らなくても十分に楽しめる、非常にフレンドリーで和気あいあいとした公演でした。

ドラマーは、メイペックス・アーティストで、このツアー中に、日本を代表するドラマー、川口千里さんとの共演もされた、Allen Chen(陳冠毅 / アレン・チェン)さん。
フェイバリットというデイヴ・ウェックル(Dave Weckl)や、メンバー全員が大好きだという日本のフュージョンバンド、T-SQUARE や CASIOPEAのプレイの影響を感じさせるドラミング。
さらに、ポップス等のヴォーカル・バンドでもプレイされているため、楽曲を支える芯のあるビートを発信していて、テクニカルながらも安定感のあるグルーヴを披露してくれました。

その、テクニカル、且つ、安定したプレイを支えるメインスネアは、「MAPEX BP DESIGN LAB / HEARTBREAKER [BPMH460LNW]」。

ステージに近い席で観ていましたが、生音でも、まるでレコーディングで処理したかのような音の輪郭があり、タイトなバックビートはもちろんゴーストノートに至るまで、リアルに聴こえてきていました。

木目が詰まっておらず、ふくよかな中低域の響きを持つマホガニー・シェルにより、強く叩いても弱く叩いても、音量変化はありますが、音質は大きく変化せず、安定したビートが出ていました。
歌やサックス、ギターの主旋律を邪魔せず引き立て、ダイナミクスもスムーズに表現でき、細かいフレーズのジャズ・フュージョン、情熱的なR&B、ささやくような美しいバラード等にも対応可能な、楽曲を包み込むようなポテンシャルでした。

特筆すべきは、内巻きフープ(SONIC SAVER HOOP / ソニックセイバー・フープ)によるリムショット系のサウンド。
クローズド・リムショットでは十分な音量を持った優しい響きが、オープン・リムショットでは、バンドや歌に埋もれない、明瞭で抜けの良いアタック音が得られていて、様々なドラミングに対応可能なスネアドラムだと思いました。

終演後、アレンさんとお話ししましたが、ご自身も、HEARTBREAKERスネアの安定感を気に入っておられ、一音一音が適度に抑えられた音の塊となるため、バンドメンバーやヴォーカリストからも、安心して聴いていられると好評だ、と言っておられました。

8月18日(火)THE BOTTOM LINE NAGOYA 使用機材

Drum Kit

Snare Drum

Hardware

Accessories

今回のライブでは、バンドメンバーが大所帯で移動が厳しく、メイペックスのドラムセット「サターン・エヴォリューション・ドラムキット(MAPEX SATURN EVOLUTION SERIES DRUM KIT)」は、名古屋公演でしか使用できませんでした。
築地・汐留BLUE MOODの公演では、メイペックスはスネアドラムだけとなってしまいましたが、それでも十分に、アレンさんの素晴らしいドラミングを堪能させていただきました。

さらに、一部二部の幕間や終演後にお話しし、台湾に帰られてから、私からのインタビューにお応えいただきました!こちらでご紹介させていただきます。


Allen Chen(陳冠毅 / アレン・チェン)インタビュー

QUESTION Q

当日に使った、Zildjian シンバルの詳細と、使用していたスティックの詳細、そして、ドラムペダルのモデル名を教えてください。

ANSWER A

<Cymbals>
Zildjian 20” K Ride
Zildjian 18” K Dark Crash
Zildjian 14” K Hi-Hat
Zildjian 16″ K Constantinople Crash
Zildjian 10″ A Custom EFX Splash
Zildjian 8″ K Splash

<Drumsticks>
Promark TX5AW

<Bass Drum Pedal>
DW 6000 Series Bass Drum Pedal

QUESTION Q

ドラムを始めたきっかけは?そして、何歳ぐらいから始めましたか?その当時好きだったドラマーは誰ですか?

ANSWER A

ドラムを始めたのは小学生の頃で、最初は台湾の伝統的な獅子舞の太鼓や、中国の銅鑼(どら)、シンバルなどを習っていました。

中学に入ると、マーチングバンドのパーカッション・セクションに加わり、スネアドラムやバスドラム、コンサートシンバルのほか、マーチングスネアやクォード・ドラムを学びました。

ドラムセットに本格的にのめり込んだのは高校生になってからです。同級生とバンドを組み、それ以来ずっとドラムセットを叩き続けています。高校時代、初めてドラムのあるリハーサルスタジオに足を踏み入れた瞬間のことは、今でも鮮明に覚えています。
スタジオのテレビではデイヴ・ウェックルの教則ビデオが流れていました。彼の演奏を初めて目にした時は、まさに目から鱗が落ちるような衝撃を受けました。そのドラミングは信じられないほど繊細で、歯切れがよく、とにかく文句なしに格好良かったです。

QUESTION Q

MAPEXとエンドースしたのは、いつからですか?できれば、そのきっかけも教えてください。

ANSWER A

MAPEX(メイペックス)との最初の出会いは大学時代、サークルの部室でORION(オリオン)シリーズのドラムキットを叩いた時でした。その深く豊かで、芯のある太いサウンドに一瞬で心を奪われ、「なんて素晴らしい音がするんだ!」と感動したのを覚えています。
メイペックスが、実は台湾発の自国ブランドなのだと知ったのは、少し後のことでした。

プロに転向してからは、親しいドラマー仲間たちが次々と、メイペックスのアーティストになっていくのを目にしました。そのため、自分自身もメイペックス・アーティストのファミリーに加わることができたら、それは本当に素晴らしく、意義のある重要な節目になるだろうと強く感じるようになっていったのです。

そして、2019年頃、KHS(メイペックスの親会社 / 台湾)との繋がりができたことで、様々なメイペックスのドラムキットを使った、一連のコラボレーションが始まりました。自身のバンドのライブパフォーマンスでも、メイペックスのキットだけを使用するようになりました。
その後、2020年にすべてが実を結び、メイペックスとジルジャンの両方から、正式にエンドースド・アーティストとしてのサポートを受けられることになりました。

QUESTION Q

今回の演奏で、「MAPEX BP DESIGN LAB / HEARTBREAKER [BPMH460LNW]」を使用された理由を教えてください。

ANSWER A

メイペックス BP DESIGN LAB 「HEARTBREAKER(ハートブレイカー)」スネアドラムは、私がメイペックスのアーティストになって初めて手にしたスネアなので、本当に特別な思い入れがあります。
特に、打面をミディアム・ハイにチューニングして、ほんの少しだけミュートをかけるセッティングが気に入っています。

まさに、コージー村上さんが言った通り、

「アレンさんのプレイでのHEARTBREAKERは、タイトでしっかりバックビートやゴーストもしっかり聴こえる、生音でも音処理をしたように、丁度良く一音一音が止まってくれるという印象のサウンドでした。」(コージー村上談)

というように、こうすることでゴーストノートの明瞭さや歯切れの良さを保ちながら、驚くほど芯のあるパンチの効いたアクセントを生み出すことができるんです。

日本ツアーに出発する前に、私のHEARTBREAKERを完璧に調整してセットアップしてくれたテックのヘインズにも、この場を借りて大感謝を伝えたいです!

このスネアはとてつもないエネルギーと音量を持っているので、プレイスタイルで少しダイナミクスをコントロールするだけで、ステージ上でまさに「絶対的な武器」になってくれます。

QUESTION Q

プレイしている時に心がけていることは何ですか?

ANSWER A

会場はどこも独自の音響特性を持っているので、サウンドチェックで私が最初にすることは、その空間の響きを肌で感じ取ることです。これによって、自分の演奏にどれだけのパワーを込めるべきかが大きく左右されます。

バンドという環境において、ドラムキットの音量をコントロールすることは絶対に欠かせません。ドラムがコントロールを失って暴れ出した瞬間、他のメンバーは自分の音を聴き取るためだけに、それぞれの音量を上げてしまいます。そうなると、音響エンジニア(PAさん)にとって大きな頭痛の種になってしまうのです。
だからこそ、ライブ本番中、私は常に自分のダイナミクス(音の強弱)のレベルを極限まで意識しています。表現するダイナミクスの幅は、曲のスタイルによって自然と変化しますから。

全体のバランスが固まったら、次に優先すべきは、常に会場の空気を読み、メンバーの演奏状態を観察することです。
次のセクションへと彼らをスムーズに導くこと、あるいは、誰かが火を吹くような熱いエネルギーで演奏しているのを感じ取ったときは、さらにパワーを送り込んで、パフォーマンスを本当のクライマックスへと押し上げる手助けをすることを目指しています。

私にとって、ドラマーとは究極のところ、“運転手(ドライバー)” なのです。私の使命は、全員を安全に乗車させ、目的地までスムーズで快適なドライブを楽しんでもらうことですから。

QUESTION Q

8月18日に、THE BOTTOM LINE NAGOYAで共演された、川口千里さんのドラミングの印象を教えてください。

ANSWER A

川口千里さんは、本当に素晴らしいドラマーです。
今回のコラボレーションを通じて彼女から最も強く感じたのは、そのプロフェッショナリズム、親しみやすさ、情熱、そして優しさでした。
彼女は自分のドラムのセッティングを、すべて完全に自分の手で行います。日本でのリハーサルはわずか数十分という短い時間だったにもかかわらず、私たちの複雑なレパートリーを完璧な精度と流れるようなしなやかさで演奏してくれました。

その上、彼女のソロテクニックは格別に輝かしく、彼女からは本当に多くのことを学びました!将来、また彼女とコラボレーションできる機会がもっと増えることを心から願っています。

QUESTION Q

今回の日本でのコンサートの印象を教えてください。

ANSWER A

日本は、観光にとってもバンドのツアーにとっても、今なお特別な国です。
今回のツアーでは、福岡、大阪、神戸、名古屋、横浜、東京の6都市を回りました。各地の美味しいグルメを堪能できたことはもちろんですが、日本の会場が持つ、それぞれに独立したプロフェッショナルな音響特性には、特に感銘を受けました。

そして、素晴らしいメイペックス「SATURN EVO(サターン・エボリューション)」キットを提供してくださった、日本のメイペックス輸入代理店、キクタニミュージックの皆様に、心から感謝の意を表します。
このドラムセットは、私が台湾で毎日叩いているものとまったく同じセットアップだったため、馴染みの感覚と安心感を得ることができ、パフォーマンスを真に引き上げてくれました。本当に信じられないほど最高の体験でした!

QUESTION Q

最後に、日本のMAPEXに興味を持つドラマーに向けて、メッセージをお願いします。

ANSWER A

メイペックスは、プロフェッショナルなクオリティ、パワー、そして、豊かなトーンのダイナミクスを究極のバランスで届けてくれます。最近の私の日本でのステージが、まさにその最高の証明です!
ぜひ迷わずにメイペックスを試してみてください。これからもっと多くの日本のドラマーが、メイペックスとともに自分だけの素晴らしいグルーヴを響かせてくれるのを楽しみにしています!

アレンさん、熱いメッセージをありがとうございました!
是非、また日本に来て、コンサートツアーの開催をお願いします。機材調達などなど、お手伝いいたしますので!

<質問制作:コージー村上>


💐Special Thanks


記事内に登場したメイペックス製品

コージー村上プロフィール

COZY MURAKAMI

約30年にわたり楽器販売の現場でドラム専門スタッフとして活躍。豊富な製品知識と経験を活かし、多くのドラマーや楽器メーカーから信頼を集めてきた。
プレイヤーとしても精力的に活動し、メジャーレーベルよりソロアルバム『SOUL BOUND -Dedicated to Cozy Powell-』(2004年)をリリース。ライブやレコーディングなど幅広いフィールドでドラマーとしてのキャリアを築く。
また、ドラマー向けにシンバルの基礎知識や選び方を解説したDVD『究極シンバルガイド』では監修・出演を務めるなど、ドラムおよびシンバルに関する啓蒙活動にも携わる。
現在はドラムアドバイザーとして、ドラマーへの機材提案やサポートをはじめ、楽器メーカーや音楽関連企業へのアドバイスなど、多方面で活動している。
また、レジェンド・ドラマー Cozy Powell のプレイスタイルやスピリットを深く敬愛し、その魅力を次世代へ伝える“伝承者”としても活動。Cozy Powellサウンドの研究・継承にも力を注いでいる。

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